夜の終わりに願うこと。



「...僕は、神様の使いで、死の近い人を道に迷わない様に連れて行くのが仕事だ」

「...うん、知ってる」

「...今までだって、何度もしてきた。
 ...だから、君のことだって...」

そう言って彼は、ゆっくりと目を伏せた。

「もう、いいの」

私がそう言えば、彼は静かに肩を震わせた。

「.....わかってるんだ、こんなこと思ってしまうのは、駄目だって。わかってるけど、でも、僕だって...僕だって、君ともっと一緒にいたい」

「......」

「...僕は、君を愛していた。
 僕にとって君は、一番の人だよ」

「.....ありがとう」