それから毎日のように、彼が私の前に現れては、ふたり他愛ない時間を過ごしていた。私がどんなに素っ気なくしても、彼は楽しそうに色んな話をした。
けれど、どれくらい経った頃か、彼は急に黙り込んでは、はっと我に返ったように笑う、というより口角を上げる、そんなことが多くなったのだ。
そんな彼を見て、自分がもうすぐ死ぬのだと、そうはっきりと解った気がした。
『私って、あと何日で死ぬのかな』
そう言って笑って見せれば、彼は
『...それは、言えない』
そう、いつもより低い声で言った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…