夜の終わりに願うこと。



願うことは、たったひとつ。

この日を忘れずにいたい。

彼のことを、彼の笑顔を、彼の声を、
彼の温もりを、彼の言葉を、彼の涙を。


私は彼の掌に、そっと手を伸ばす。

重なった手はどちらから途もなく、
強く、それは強く、握り締めた。


「....僕には、この仕事、向いてないかな」

「そうね、そうかもしれない」

「....やっぱり?」

「だけど、私は良いと思うの」

「どうして?」

「...だって、貴方が死神さんじゃなかったら、私達は会えなかった筈でしょう」

「...そっか」

「そうよ、道に迷わず連れていってね
 優しい死神さん」







*end*