柴犬~相澤くんの物語り

 車は、保健所に到着し、おれたちは、汚くて狭い檻の中に押し込まれた。


 「かわいそうだけど、一週間たって引き取り手がなかったら、おまえたちは灰になっちゃうんだ。ごめんよ、私たちも仕事だからね」

 職員の一人が哀れむような目でおれたちを見て、檻の鍵を閉めた。


 「何を…言ってるんですか? 相澤君……彼は何を…」

 「さっきから何度も言ってるだろ? おれたち、あと一週間したら殺されるんだ。おれたち、あと一週間しか生きられないんだ。おれも高宮さんもこの世から消えちゃうんだよ……」

 涙がこぼれ落ちた。

 「あ…で、でも…殺されるだなんて……いくらなんでも……」

 「人間は、野良犬の命なんて、なんとも思ってないよ、ゴミと一緒だ」



 「相澤君……」

 おれの言葉に高宮さんが通路に向かって大きな声で吠えた。

 「お願いです、ここから出して下さい! 私達は何もしない! ただ静かに暮らしたいだけです!」

 高宮さんが必死に呼びかける。


 でも職員のやつらは、こんなこと慣れっこなのか、知らん顔だった。