柴犬~相澤くんの物語り

 「相澤君、どうしたんですか? うわぁ、ヒ、ヒドい…傷だらけじゃないですか!」

 高宮さんがすぐに駆け寄ってきて傷口を舐めてくれる。


必死におれのことを心配してくれてる彼を黙って見つめる。
以前は、あんなにきれいだったのに、今は毛が泥で体に張りつき、ただの痩せこけた野良犬みたいだった。


 それでもおれをかばい、いつでも優しい彼に自分でも説明のつかないイライラが募り、ついにおれの感情は爆発した。


 「もういいよ! こんな生活、もうたくさんだ!」

 泣きながら大声で怒鳴った。



 高宮さんが嫌いになったわけじゃない。

 ずっと一緒にいたかったのに……。



 
 だけどもう疲れすぎていてなにもかもがどうでもよくなっていた。