その日の夕方、おれはサトシのシャツの袖をぐいぐい引っ張り散歩をねだった。


サトシはいつも公園でおれの鎖をはずしボール遊びをしてくれるから、その時が逃げ出す唯一のチャンスなんだ。




公園でいつものように遊んだ。


 サトシの投げるボールをくわえておれがもどってくる。
何回か繰り返したあと放り投げられたボールを素通りし、おれは公園を突っ切り出口めがけ猛ダッシュした。一目散に走り去っていくおれを


 「こうた~?!」

 驚いたサトシが叫びながら追っかけてくる。


 「ごめんな、サトシ、ごめんな」

 呟きながらおれは彼を振り切り、町外れの空き地まで逃げた。