サァー・・・桜の木が揺れている。

「はぁ・・・。久しぶりだなぁ。大川中学校」

いま、私は中学校時代の母校の大川中学校に来ている。

なぜなら将来の夢が叶い、晴れて中学校教員になったから。

今回は1年間実習生としてやってきた。

職員玄関の前で深呼吸をしようとした時だった

「あら?あなたは実習で来てくれた柴咲先生かしら。」

「はい!おはようございます!1年間お世話になります。柴咲です」

「遠くからありがとう。どうぞ中へ」

「いえいえ、とんでもないです。失礼します」

大川中学校の中へ7年ぶりに入った。

そして今は生徒ではなく教師として。

この先生は、ここの職員かな?

なんか優しそうだな~。

すこしふくよかな体型かも。

そんな色んな考えを巡らせ、緊張を抑える。

「ここが職員室よ。」

「ありがとうございます。失礼します」

すると一斉に先生方が私を見る。

「お、おはようございます。これから1年間お世話になります。柴咲 香恋で…」

バサバサバサッッ

「えっ・・・」

私の視界がぼやける。

そう、ファイルを落とした先生は

紛れもなく、中学校時代の思い出に深く刻まれたあの人だったから・・・。