次の日、あたしは春と一緒に黎明学園の校門前に立っていた。
今日は男勝りな春も、うっすらとメイクをして制服のスカートを2つ折っている。
それにくらべてあたしは今日も普通のストレート黒髪(こういうと聞こえはいいが、実質髪の毛を切るのがめんどくさくて放置しているだけ)、ひざ丈スカートだ。
メイクなんてしていないし、そもそもメイク道具を持っていない。
姉はいつも派手じゃなく、かつ華やかに美しく化粧をしている。
制服だって、可愛く着こなす。
決してあたしみたいにけだるくは着ない。
「さ、いこっか。」
春の声を合図に、あたしは校内へ歩を進めた。



「君、」
なにか後ろから声が追いかけてきたので振り返るといかにも『チャラいです』雰囲気を醸し出した黎明の学生が立っていた。
「奢ってあげるよ。話さない?君だよ。」
そう言って指をさしてきた。
校内に入るが早く、春はナンパされた。
「ええ!いいんですか?でも、悪いから…」
あたしはそのナンパさんに無視されながら春の後ろを無言でついていく。
「それに、あたし、この子いますから。さようなら~」
笑ってナンパさんを撃退(というか無理やりシャットアウト)。
さぁ、気を取り直して校内を回ろう!としていたとき。
――――――――前から姉が歩いてくる。
それに、その横には…王子様。

あたしは息が詰まってどうにもできなかった。
(2016.06.05)