「おはよー!」

バスの運転手さんにお礼を言い
教室にむかった。

歩いていた私に声がかかる。

廊下で大声で叫ぶのは一人しかいない。

「百合……うるさいから」

廊下の向こう側。

私とは真逆の位置にいる生徒。

茶色のふわふわヘアー。

「椿ー!!
こっち!こっち!」

百合はなぜか、手招きしている。

しょうがない。
行ってみるか……。

小走りで百合の元に行く。

「……椿‼」

そこには、百合の他に顔見知りがいた。

懐かしい声。
懐かしい笑顔。

私は、この人を知っている。


幼なじみの……

「た、竜?」

彼は私の言葉に目を見開いた。

「俺のこと……わかるのか?」

彼が言っていることもわかる。

たって、昔とは全然違うから。

昔よりカッコよくなっちゃってる。

髪の毛も金髪だし。

耳にはたくさんのピアス。

どこからどうみても……不良。

「良かった……」

でも、彼は一言。

優しく、それだけ言って
私を抱き締めた。

百合は隣で、キャーとか言ってる。

私の頭はショート寸前。

竜に、抱きしめられている現状。

なんで?