とりあえず、お財布があれば 良いよね!

私はスクバを持って家を飛び出した。

後で母さんが叫んでる気がするけど……関係ない!

バスに乗り遅れたら大変だ!



「ふぅ。ギリギリ間に合った!
朝から久しぶりに走った……」


ギリギリ滑り込んで、一息ついた。

これで遅刻はしなくて良さそう。

独り言が激しい私は変人?


だからなのか、誰かが声をかけてきた。


「君、大丈夫?
あれ?君も麻生学園の生徒?
制服が俺と同じだから……」

その言葉に驚いて振り返る。


「えっ!!」


目の前にいたのは、爽やかな好青年であり、麻生学園の……

「生徒会長!」

驚きが隠せない。
なんでここにいるの?

「知っててくれたの?俺のこと!
嬉しいな!ありがとう♪」

知っるもなにも
目の前にいる貴方は生徒会長だし。
おまけに人懐っこい性格と優しい笑顔。
赤茶色の髪が似合う、超容姿端麗!


女子の噂にならないわけがない。


しかも麻生学園は、結構なお金持ちが通う学校でもある。
そのため、他の高校の女子からも相当狙われているはず!

だって現に、周りの女子からの視線が痛い。

そりゃあそうでしょうとも!
あの!自分からは話しかけないと噂の
暁人生徒会長に話しかけられてるんだから!

私もびっくりだし!


あ、お金持ちといっても。

皆が考えるお嬢様なんかとは違う。


ギャル系の人もたくさんいるし、
血迷ってもごきげんようなんて言わない。

通学もバスか地下鉄か徒歩だしね!

ただ普通より家が裕福で、
お手伝いさんとかがいるだけ。

麻生学園は部活の種類も多く、
運動部に所属してる人も多い。


「……ねぇ!
大丈夫?椿ちゃん」

突然耳元で声が。
焦った顔をする生徒会長。

あー、またやってしまったか。
自分の世界にスリップ。

「あ、ごめんなさい。
大丈夫です」

私がいそいでそう言うと

「良かった。顔色悪かったから」

凄くホッとした顔になった。

生徒会長、何回も名前呼んでくれてたんだろうな……。

名前。名前。名前?

「あの……なんで私の名前を?」

「えっ!……っとまぁ、いろいろとね!
それより椿ちゃん、
タメ口で話して良いんだよ?
それで、俺のこと名前で呼んでよ。
同級生なんだし」

「じゃあ、お言葉にあまえて」

あれ?なんか、はぐらかされた?

「だから、なんで私の名前……」


「ほ、ほら椿ちゃん!
そろそろ着くよ?」

ほら、また。
はぐらかそうとしてる。


『麻生学園前。麻生学園前』


「ほら、着いたよ!
また、あとでね♪」

なんてタイミングの悪さ。
暁人はさっさと玄関へ走って行ってしまった。

あとでねって何?