唇トラップ


#眞子side


ニヤリ、と。
口元を緩めて、エリーは背凭れに背を落とした。


「・・・マジか。」


何処か、嬉しそうにも見えるのは気のせい?
太陽かと思うほど眩しい王子様スマイルに反して。こんな悪戯な笑い方もするんだな。


『しかもあたし、拒否られてんのを強行突破しちゃって。力任せにグルグル掻き回してやった。』

「ぐるぐるね〜。」

『けど最後らへんは・・・向こうも乗り気だったよ?多分だけど。』



乗り気、どころか。
壁に押し付けられて、形勢逆転。
無理矢理なくらいに貪られたよ?

多分だけど。




『あー、もう、なんであんなことしちゃったんだろう!』

「後悔してんの?」



そう聞かれて、ハタと振り返る。


『後悔・・・してんのかも。超ブルーだわ。何してんだあたし、みたいな。』

「じゃあ、聞き方変えるよ。それが須藤からじゃなくて、廣井さんからだったとしたら?」



あのキスが。
もし向こうからのキッカケだったら。



『驚いた、とは思うけど・・・。』

「ブルーにはなってない?」



頷くと同時に。
何だか頬が熱くなった。



『まぁ、私も向こうも酔ってたし!キスくらいなら、そのうち“そんなこともあったな〜”くらいになれるっしょ。』



頬づえをついたまま、エリーは返事の代わりに意地悪く微笑む。



『ねぇ、男子にとってキスって何?!』

「すごい質問来たな。」

『いや、真面目に。キスするって、大したことない?』



廣井さんは今。
どんな気持ちでいるんだろう。



「人によるんじゃない?キスくらいって思うやつもいるだろうね。」

『エリーは?』

「俺の話は関係ないでしょ。いま廣井さんの話してんじゃん。」

『いいからっ!』




エリーの回答を、彼の気持ちになぞらえたい。

面倒なのか気が乗らないのか。かわそうとするエリーをせっつく。



「まぁ・・・俺にとっては、それなりに意味があるかなぁ。」

『どんな?』

「キスって、気持ちが入るじゃん。」

『気持ち?』