#眞子side



まさか、自分の人生にこんな日が来ようとは。





「ここ、いい?」






右を見る。左を見る。正面に戻る。

間違いなく、私しかいない。




ピーク時を過ぎた社員食堂で、他にも空席が目立つにも関わらず。

わざわざ私の前の席に座ってもいいかと問われている。



八坂蒼甫、に。




『ど、どうぞ・・・!』

だめっ、震えた!汗

あまりの緊張に、思わず目をそらそうとしたら。




フワッと。

目を細めて、微笑まれる。
涙黒子と、片方だけ持ち上がった口角。





呆気なく白目。そのまま後ろに陥落しそうになった頭を、危機一髪引き止めて。

何この色気!!汗
完璧なんですけど!!!

初めて、真正面からこの人を見たけど。
こんっなに綺麗な顔してたんだ。予想を超える、どころじゃあないんですけど。


こんな人にベロチューされたり、抱きすくめられたり。
あいつ(十和子)の心臓は毛が生えとる!!!汗



「一人?」

『あっ、やっ、はいっ?汗』


頼む。さっき入り口で捕まえて、強制連行したランチ後のエリー。
コーヒーの買い足しから、できるだけ長く戻って来ないで!!


土日悶々と頭を悩ませていた、金曜の出来事。誰かに縋りたくて、だけど十和子に打ち明けるには生々しくて。
虚ろに歩いていたところで、エリーとすれ違った。
ブチまけて、楽になろうと思っていたけれど。



そんな事、どうでも良くなる。

だって。



『何か、私めにご用ですか?』

「ああ。」


嗚呼!!!!!!
頬骨の位置と顎の形が完璧!!!格好良い!!!!!!涙



____________じゃ、なくて!汗




『十和子の事ですか?』




これを逃したら。




「よく分かったな。」




恐ろしい程の、この色男に。

愛する親友への想いの丈を、確かめる暇なんて無さそうだから。