八坂さんとの進展をあれこれ妄想する眞子に、あの人とは別に何も無いと応える。
何度もそう繰り返す私に、眞子は鼻でせせら笑う。
「ベロチューしといて、何も無いもクソもないよ。」
『ちょっ、べ、ベロチューって・・・!』
「だってそうじゃん。二回ともベロチューでしょ?」
確かに、間違ってはないけれど!汗
あまりに端的な表現に噴き出す、ワキ汗。
「(じゃあさ、エリーのベロチューと比べてどっちがどうだった?♡)」
『(もう社内でその話はやめてっ!)』
エレベーターを待つ列に並びながら、コソコソと脇を突きあって笑う。
ベロチュー、という言葉の度に。口の中が、二人の動きを思い出すようで。
本当に汗かいちゃった・・・。
ミニバッグから、セリーヌのタオルハンカチを取り出す。
ファンデーション、絶対浮いてる。
念入りに直さないと________
「あ、エリー。」
『え?!?!』
肩がビクついた。
眞子の視線を辿れば、社員食堂から吐き出される人の群れ。
その中に、一際輝く王子様。
隣の誰かと笑いながら向かって来た彼は、私たちの姿を認めると。
より一層大きな笑顔を見せて、真っ直ぐ此方に向かって来た。
エ「お疲れ。女子会?」
眞「そ。エリーの話してた。」
『やめてっ!汗』
平然と話す眞子に慌てたら、悲鳴のような声が出てしまった。
あっは、と上がったエリーの笑い声に耳が熱くなる。
眞「あ、時間やば・・・私、やっぱもうこのまま戻るね。」
もし、気を利かせて席を外したなら自然すぎる。
だけど私を一瞥もせずに立ち去る後ろ姿を見て、どちらか判断出来ないまま。
私は眩しすぎるエリーと、取り残されてしまった。
どうしよう、この流れで話すの気まずい。。
明らかに挙動不審な私に、いつもどおり接するエリーの上手さ。
「藤澤、柊介さんに俺のこと何か話した?」
『エリーのこと?』
一応、金曜日に報告する予定だよ?
そう頬を染めて口走ってしまいそうになって、そう言えばお泊まりしたことは伝えていることを思い出す。
お泊まり。
我ながら、そのフレーズが心臓に追い打ちをかける。



