「歩けないんだけど…」

ボソッと呟いた。


この足で。
今あなたが複雑骨折とか言ったこの足で、どうやって歩くっていうのよ。

どう頑張っても無理でしょ。


それでも先生は、私にヘラッと笑顔を見せたまま。


「車椅子…とか、ないの?」

すっかりタメ語が定着してしまった話し方で、先生に問いかける。


すると、先生はドアの方を見つめたまま、少し驚いた顔をした。

私も、上半身だけ回れ右。







「あ、ごめんなさい。邪魔して…。先生、大樹が呼んでます」


ふわっと、扉の前の“彼”は笑う。



私は目を奪われた。



儚かった。

肌は今にでも消えてしまいそうに白くて、体の細さも私と同じくらい。

触れたら溶けてしまいそう。


そんな感覚さえもした。
本当に、自然に。




_______これが、私と彼との出会いだった