「いいんですか?」

おもわず聞き返すと、


「どうぞ」


さっきと同じ返事が返ってくる。




「失礼します」


だから、お言葉に甘えて部屋に入ることにした。







「いらっしゃい。どうかしたの?」


亮くんは、確かにそう発したのだと思う。


クラスの男子よりも声が小さいのはもちろんだけど、

なにより、私が話を聞ける状態ではなかった。




さっきは服で見えなかった腕が、今ははっきりと露わになっていて。

細すぎて血管がよく見えるそこには、点滴の跡が無数にあった。



ああ、なんて儚いのだろう。


なぜこんなに消えてしまいそうなのだろう。



答えは分からない。だけど。



私を見てキョトンとした顔の亮くんを見て、無性に泣きたくなった。