小さな島に光が降り注ぐ。

穏やかな晴天。


ラプラムルの姫君の処刑から今日でちょうど16年。
ここから見えるラプラムル本島では追悼式がこと悲しげに開かれているようで、白い何本もの煙が天に向かってあげられている。

けれどラプラムル本島から少し離れたこの小さくてのんびりした島では、いつもと変わらずにゆったりした時間が流れている。



「セゼリア、サゼル君が遊びに来たようだよ。」

小さなレンガ造りの家の庭を手入れしていたおばあさんが、訪問者に気づいて家の中の少女に声をかける。

「サゼルが??いま行くわ!」

少女は編んでいた糸を放り捨てて庭へ出た。

「やぁ、セゼリア。今日はいい天気だからリーズの実でも摘みにいかないか?」

「奇遇ね、サゼル。私も後であなたのところに行こうと思ってたのよ。おばあさま、出かけてきます!」

楽しそうな少女の笑顔におばあさんは微笑んで答える。

「暗くなるまでに帰りなさいね。」


少年と少女は森の奥へと弾むように走っていく。

透けるように明るい金髪の少年サゼルと、落ち着いたブロンドの髪の少女セゼリア。
小さなこの島で、たった2人の子供だ。


「セゼリア、リーズの実を摘んだら海の方に行ってみよう。俺、本島の追悼式の煙、見てみたいんだ。」

「サゼルってば不謹慎よ。追悼式だって言うのに。でもそうね、摘んだリーズの実を海辺で食べるのもいいわね!」

「だろ?ほら、行こうぜ。」



しばらく可愛らしい鳥の声が響く平和な森を駆け抜けたところで、野原に出る。

野原の真ん中にはたくさんの赤い実をつけたリーズの木が佇んでいて、2人は抱えきれないほどのリーズの実を摘んだ。