そのうちにこの島にも豊かな季節がやってきて、忙しくなった。


朝起きて、冷たい湧き水で顔を洗い、1日が始まる。

庭へ出て、雌鶏から二つ卵を頂き、おばあさまと私の分の朝ごはんを作る。
それからは掃除、洗濯に加えて庭の花のお手入れや野菜の収穫、鶏や山羊の世話に追われた。

おばあさまと2人で、てんてこ舞いになって駆け抜けていく時間に必死に仕事を終えていく、そんなこの時期が私は一番好きだ。

そろそろ丘にナツハの花が咲く頃だ。
そうしたらまたサゼルとたくさん採りにいかなくては。

ナツハの花束を瓶に入れて密封し、ある薬草の粉を入れると2、3日で花が溶けて蜜のようになるのだ。

貴重で可憐な特産品だ。



そんなこんな毎日を過ごしていると、ラプラムル王室のことは頭の片隅から少しずつ霧がかかったように消えていった。