周りのさすがにそれは、という視線を感じながら、私は席に着いた。
それでもめげないのが山田 永遠という生き物です。
少しだけ頬に溜めた空気を静かに外に吐き出して、
ノートを取り出して黒板の板書を始めた。


「山田さん」
「は、はい」


授業終わりに、あの南条さんが私に話しかけてきた。
クラスどころか学校のカースト的にもトップと言える、あの南条さんが、である。
私は高鳴る心臓の鼓動を聞きながら、
くるんと上を向いた沢山のまつ毛にも埋もれない、彼女のグレー色をした目を見た。


「今日あたし昼休みの図書室当番なんだけど、変わってくれない?」
「あ、え、えっと、いいですけど」
「ほんとっ?ありがとぉ、助かる!」


最初は糖分50%オフと謳われそうな彼女の声が、
一気にスイーツ食べ放題のお店のようになった。