かず兄の手には氷枕が握られていた。
「そっか、、もう二時間目か、、、っじゃなくて!もうっ!かず兄のバカっ!かず兄なんかこうしてやるっ!」
あたしはそのままガバッと起き上がってかず兄の脇腹に飛びかかる。
かず兄は昔から脇腹をこしょばされるのに弱い。
「ちょっっ、はははっ!や、やめろははっ!ってひま⁈あぶねっ!」
一瞬クラッと目眩に襲われた。
後ろに倒れそうになった体をかず兄が受け止める。
あたしの背中に手を回して片手をベッドにつく。
ドキッーーーーー
かず兄と視線が重なる。
まっすぐな黒い瞳から目が離せない。
部屋には時計の音とグラウンドで体育をする生徒の声だけが響く。
ギシッーーーー
「ーーっん…」
突然かず兄が顔を近づけかず兄の髪があたしのおでこにかかり、そのくすぐったさに思わず身をよじる。

