前回に叩いた時よりも今回はちょっと力が入りすぎたかな?
だけどこれくらいしないと気がすまなかった。
少し沈黙が続いてると、私達の後から尊の名前を呼ぶ声が聞えた。
「尊さん!遅かったからこっちの方へ歩いてきたんですけど、お知り合いの方ですか?」
そう言って現れたのはこの前に一緒に尊と居た奥さんだった。
「あっ、貴方は確かこの前に一度、会いましたよね?あの時は挨拶もせずにすみません。
尊さんの妻の陽子と申します。
主人がいつも御世話になってます。」
何も知らない彼女は私達に頭を下げた。
すると沈黙だった大和が突然話しだした。
「初めまして、御主人と僕は今日が初対面だったんですが、僕の彼女が前に御主人に御世話?になってた時期があったんですよ!
因みに二人は付き合ってたんですけど、御主人が海外に転勤になると嘘をついて別れたみたいで、後々に会った時は既に貴方と結婚されてたみたいなんですよ。
僕としては別れてくれたのは有りがたかったですけど、彼女は騙されてるんでそれが許せないんですけどね。
大変ですね、嘘つきな御主人で…」
すると尊は顔色が急に変って言った。
「ちょっ、な、何言ってんだよ!
陽子!ち、違うんだ!」
「尊さん…どう言う事?彼女は居ないって言いながら二股掛けてたの?酷いっ!」
彼女は泣き出してしまった。
「じゃあ私達はこれで!」
大和は私の手を繋ぎ歩き出した。
「お、おいっ!」
尊がそう叫んだが大和は振り返る事もせずに居酒屋の方へと向った。

