出発ロビーまで山口も来た。 まだ時間があったので、みんなお土産を買ったり、コーヒーを飲んだりして自由に過ごしていた。 直子はトイレへ行くと言い、セシルはひとりで椅子に座って待っていた。 すると、山口が近づいて来て、セシルの隣に座った。 「ほんとに大丈夫? 昨日とは全然違う人に見える」 「そうですか」 「うん。抱きしめてあげたくなる」 「え?」 「あなたがどこかへ飛んで行ってしまわないように……」 そう言うと、山口はセシルの目を見つめ、軽くハグした。