「でも、二十代でしょ?」 「違いますよ〜」 セシルと直子は、顔を見合わせて笑った。 山口がお世辞を言っているようにも見えなかったので、ちょっとうれしくもあった。 「多分、山口さんとそんな変わらないと思いますよ」 セシルが言うと、山口はさらに驚いた顔をして言った。 「嘘だろ? 俺、いくつに見える?」 仕事中は「僕」と言っていた山口が、自分のことを「俺」と言い、くだけた口調になっていることに気づいた。 やはり、プライベートの顔なのだ。リラックスしていて、楽しげだった。