君が忘れた、僕らの話。




夜の風が、赤く綺麗なの髪を揺らした。
あの後、マスターは幸助さんになぜだ?と聞き続けていたが、幸助さんがあまりに黙秘するため、部屋に戻ってしまった。

「あぁなったらモウしばらくデテきませンネ。」

と、言っていたので、僕らは2人気分を晴らしに外に出た。


「ねぇ、幸助さんはどこでマスターの名前を知ったの?」


「さぁ、ドコだったでショウか?」

覚えていまセンね。と付け足して微かに笑う幸助さんは、何を考えているのかわからない。


「じゃあ、いつから過去の記憶が無いの?」



「さぁ?イつだったでショウ?」


ここまで、はぐらかされると、僕だってイライラしてくる。


「ねえ!幸助さんは記憶を戻す気あるの?」


「はい。」


なぜここだけ答えてくれたのだろう?
予想では「さぁ?」とか言われるのかと思った。

若干引っかかる部分ではあるが、せっかく答えてくれたので、もう少しその話をしよう。


「でも、マスターのこと忘れることになるんだよ?」



「もともと、何も分からないので。」


珍しく、全くカタコトではないその一言に、これ以上の踏み入れは危ないと、自分の中の何かが言った。