たった一度きりの青春は盛りだくさん




「あ、うん、大丈夫。

え、俺、寝よった?」


半分寝ぼけた感じの和希はゆっくりと体を起こして、少しふにゃふにゃになってるプリントを見つめてる。


まぁ、和希が寝始めた頃はまだ明るくてカーテンが開いてたけど、今は真っ暗でカーテンが閉まってる上に電気もついてる。


混乱してもおかしくはないか。


「うん、長いこと寝よったよ。

ご飯できたらしいけん、下行こ?」


さすがの私も寝ぼけてる和希に強い言葉は言えない。


弱ってる時の琴音に接するように優しく言うと、和希は素直に『うん』と返事をして立ち上がった。


でも・・・。


「わっ・・・と」


―――ドスン


次の瞬間、私は和希に腕を引っ張られて一緒に倒れ込んでしまった。


あぁ、一体何から説明すれば良いのやら。


どうやら和希は長い間同じ姿勢でいたせいで、足がしびれてしまって立ち上がる拍子に体勢を崩してしまったらしい。


そして、立て直そうと私に手を伸ばして咄嗟につかまった部分は腕で、和希より軽くて小さい私が和希を支えられる訳がなく、一緒に床に倒れ込んでしまった。


きっと、この音は下にいるみんなにもきこえたに違いない。


きっとすぐに誰かが様子をみにくるだろう。