自分でもびっくりした。


今まで構えてたのが嘘のようにスラスラとお母さんのことを言えたから。


「そうやったんや。

ううん、誰にでも言いたいこととそうでないこととあるし、タイミングもあるもんね。

話してくれてありがとう」


姫ちゃんは私が好きな優しい顔で微笑んだ。


「それにね、私も母子家庭なんよね」


少し困った顔で言った姫ちゃん。


私も、実を言うとなんとなく、雰囲気でそうかなって思ってた。


「そうやったんや。

じゃあお互い様やね」


なんか、急に肩の荷が下りた感じがする。


―――コンコン


誰だろう。


今家にいるのは琴音とお兄ちゃんだけど。


「はーい」


「お姉ちゃん、和希くん来たけど・・・」


ドアの向こうから現れた琴音は姫ちゃんを見て私を見てそう言った。


琴音なりに気を遣ってるんだろうな。


「え、来るって言いよったっけ」


「晩ご飯に来るけん、早く来て夏休みの宿題するって」