私は達川くんの背中を目で追って見送りながら、今のこの状況を和希にどう説明しようか頭をフル回転させていた。


いくら鈍いと言われる私でも、この状況がただ事じゃないってことは分かってるから。


「達川、何かあったん?」


さっきまで達川くんが座っていた場所に和希が座った。


『何かあった』ことは確かなんだけど、どう説明しよう。


私が嘘をついたところで、和希にはすぐにバレてしまう。


だから正直には言うけど、言葉は選ばないといけない気がする。


「メール返さんでごめんね。

打ってる途中で達川くんが戻って来てしもて」


「え?あぁ・・・たこ焼き?」


さすが頭の良い和希は、私の不完全な日本語も理解してくれる。


だからきっと、私がどういう言葉を使おうと私の意図通りに理解してくれるんだろうな。


「メールは別に大丈夫。

奈々が普段あんまケータイ見んの知っとるし」


「うん。

あと、心配して探しに来てくれてありがとう」


達川くんのことを説明する前に、まずは絶対言わなきゃいけないことを言っておこう。


そうじゃないと、万が一冷静に会話できなくなったらいけないから。


「それも別に良いけど、まじで心配した」


「ごめんね」


心の底から謝った時、ちょうど花火があがりはじめた。