『じゃあ、貴洋!また明日な!』

『おう!じゃあな!』

私は貴の声を無視して校門を出た。

『おっおい!恋子!』

それでも無視する。とことん無視。

『えっ?俺、なんかしたっけ?』

『チーズケーキ!』

『え、何?チーズケーキ?チーズケーキ?……チーズケーキ!?なになに!?』

はぁ?これだけ言っても分かんないの?

『もういいよ。わかんないんだったらいい。』

『お願いします!俺が何したか教えて!』

『やだ。』

『えぇ?お願い!』

『無理。』

『お願いします!お願いします!お願いします!』

『だから、女の子からチーズケーキもらったでしょ?』

………………………………………………………沈黙を破ったのは貴だった。

『はぁ?お前バカァ?俺が他の女からバレンタインもらうと思った?』

『えっ。だってもらってたじゃん。』

『あんなんとっくに友達にあげたよ!』

えぇ!!!!!!

『貴~~~~~~~』

言葉と一緒に涙が出てきた。

『あぁあぁあぁあぁ!分かったから泣くな!』

『だってぇ……グスッ……グスッ………チーズケーキ好きって知ってるの、私だけだもん!』

『あたりめぇだよ!このバカが!』

『バカじゃないし!』

本当に安心した。私だけの貴!