暁のプロポーズ

《日常が過ぎ…》

旅館『海鳥』についた真人と凪。
予約してから、4ヶ月と2週間。
真人はこの日を待ちに待っていた。
婚約指輪をポケットに忍ばせ、真人の心臓は前日からものすごい動きをしていた。

「まっさとぉ〜」
ニコニコと笑いながら繋いだ手をブンブンと振り回す。

「おぉう…なっなんだ?」

「ありがとね!こんなに素敵な旅館に来れるなんて夢のようだよー!」

「…ぐっ偶然取れただけだよ」

「えぇー!本当に〜」

訝しげに真人の顔を覗きながらも、その顔には笑みが溢れている。

「ああ。本当だ」

「ふーん。まぁいいや!本当にありがとね!大好き!」

──うわぁ…5ヶ月近くも待ってよかった〜。
ニコニコと笑っている凪の顔をみると、心の底から幸せを実感する。

──よっし。それじゃ、いっちょ頑張るか!

「あ〜っと。部屋は214号室だからな」

「はーい!」

凪の返事を聞きながら、ゆっくりと部屋の方へ歩いて行った。