……最後に、『大好きだよ、サソリちゃん』、と。

そう言った、彼の落ち着いた静かな声が……表情が、
痛いくらいに、耳や目に焼き付いていて。



いくら、殺人鬼の私になっていたとはいえ。

もっと早く、早く早く……私に戻っていれば、こんなことにならずに済んだのに。




正気に戻った私は、また、殺人鬼の私を恨む。



−−−殺さない。
前、そう決意したはずなのに、片方の私は、それさえも許してはくれないようだ。


気づけば、私が覚醒していない間……夜中に、
彷徨き、静かに殺めていくのだ。
息をするのと同じくらい、まるでそれが当たり前だという風に。自然に。