あれから ぼくたち
「放っておいてよ」 「ごめんね」
「この傘に入って」 「ありがとう」
突き放されたり近づけたりの繰り返し

それから いろいろ話すようにもなった
深い話もできて
うれしいばかり
だけれどきみは まだ あのかおをする

喜ぶきみと
悲しむきみ
どちらが本当のきみなのかわからない
そもそも、どちらもそうではないのかもしれないね

夜中 外へ出かけるきみ
薄々気づいていた
きっと つぎはぼくの番だってこと

案の定 きみはぼくに刃を向ける
刃は震え 涙の粒が肩におちる
「きみならいいよ、仕方ない」
そう思うのは 好きになってしまったから

「やっぱりやさしいひとだよ」
「ありがとう、ごめんね」
はじめて笑顔をみせてくれたね
そうして ぼくは静かに目を閉じたんだ