隣には霧夜がいた。
うつむいていて、話すらしない。
俺もなにも話さず、霧夜の隣に座った。
*霧夜*
「俺は、好きだった。」
*零斗*
「ん?」
*霧夜*
「ユリだよ。
お前のことが好きなのは知ってた。でも…」
*零斗*
「お前でさえも、気づいていたんだな。
俺は、鈍くて最低だ。」
*霧夜*
「本当に。でも、最低なのは俺だ。
いつもいつも、心のなかで毒づいて、
親友なのに、実際は力になろうなんて思ってなくて。」
霧夜は、今までとは違う顔をしていた。
いつもの陽気な顔ではなく、
疲れた顔をしている。
これが、本当の霧夜か。
一人でいろんなものを抱え込んで、
なにも知らずに、俺は霧夜と同じものを
抱えていると思ってた。