(え、え?)


柄にもなく、桜が綺麗だ、なんて思っていると
突然ピンク色だった視界が遮られた。


「え?『も』?」
「え、あ、いや…え?」
「なんだよー。」


突然のことに驚いている俺をよそに、
ケラケラ笑いだすこいつ。

(誰…。)


「なーにしてんのっ。」
「…桜、見てた。」
「へえ〜、あ、確かに綺麗だな!」


そう言って白い歯を見せて笑う。
茶色い髪に犬のような顔。
まさに、誰とでも仲良くなれるようなタイプなんだろうな、と一目でよく分かる。

それに、これが世で言う『イケメン』なんだな、と。


「んっと…、誰?」


俺が1番気になっていることを聞くと、
ハッとした顔をして言う。


「ああ、そっか!悪い!
俺は、相川夏月(あいかわ なつき)!
よろしく!」


そう言って俺に手を差し出す。