「俺と正反対だから狼かー!へー!」
と、なぜか満足気な夏月。
「初耳だし、王子って…。てか、なんで俺と夏月でセットなんだよ。」
イケメンだなんて言われたこともないし、
自分でそんな風に思ったことはもちろんない。
いやそれにしても、王子って…。
「俺、そんな柄じゃないよね…。」
がっくりと肩を落とす俺。
「まあまあ、いいじゃないのっ。
泉くんだよね?
わたし、水良 花恋(すいら かれん)!
こっちは、土谷 麻衣 (つちや まい)。」
「よろしくね、泉くん。」
と、ぺこりと頭を下げる土谷。
「わたしも!よろしく!」
「ああ、冬真でいいよ。」
と、俺が言うと「わたしも!」と言って手を差し出して来る。
その手を握り返しながら思った。
______ああ、そうか。
夏月に、似ているんだ。
