そして、「この子」というのは、
どうやら夏月の知り合いである彼女の横にいた女子。
黒髪の彼女とは逆で、茶髪で身長が低く、どちらかというと童顔である。
「犬王子…じゃなくて、相川くん。お願いできるかな。」
と、野球部のマネージャーである茶髪の彼女が言う。
…っておい。
いまハッキリ「犬王子」って言ったな。
「おう、全然いいよ!あと時間とか教えてくれたら練習も行くし!」
そう言って、快くOKする夏月。
茶髪の彼女もホッとした表情を見せる。
すると、会話が一段落ついたところで、
彼女たちはようやく俺に気付いたのか、
夏月の隣で会話を聞きながらボーッと立つ俺を見た。
ハッと閃いたように、
黒髪の彼女が俺を指差して言う。
「あっ、もしかして『狼王子』?」
「…はっ?」
