「まさか」

 「なんだ」

 「でも、垂れパンダと二人っきりでコーヒータイムとかって、そこらでお茶してるより、よほど妙な噂になりそうだろ?」

 「……垂れパンダやめてください」




 てか、海外生活長かったはずなのに、よくこの人、垂れパンダなんて知ってるよ。

 いや、それ以前に古すぎ。




 「それとも、俺と噂になっても…いいのか?」

 「は?」




 隣に立っていた背の高い男に、いきなり顔を覗きこまれて、思わず大きく仰け反る。

 ちょ、ちょ、ちょっと!

 そ、そのやたらと整った顔、近づけないでよッ!?
 
 希美が言ったように特に面食いってわけじゃないけど、ごく普通に美的感覚はあるつもりなんだから、心臓バクバクしちゃうじゃないっ!




 「あいかわらず、飴なんて持ち歩いてるんだな、お前。いつまでもガキかよ」

 「…………」

 「垂れパンダ…大人になっても、垂れパンダのまんまなのは、笑わされた」