夢我無中

私は昔、彰にこういうふうに悩みを打ち明けたことがある。その時にも同じ笑い方で解決の方法を教えてくれたのだ。でもそれは幼い私にはわからなかったがより状況を悪化させる考えだった。でもどんどん悪化するのを深刻に考えているふりをしながら傍観して、より悪化させることがなんと楽しいことか。私の心はどんどん黒くなっていった。

で今、この状況だ。多少立場的に危ないのもあるがやってみてもいいかもしれない。あのゾクゾクするような感覚をもう一度味わいたい。私は彰に言った。
｢話、乗ってやろう。面白くしてくれよ｣
彰は
｢あぁそう。思いっきり楽しませてやるよ（笑）｣
またこの笑い方だ。これを見るだけで興奮する。何をしてくれるのか、楽しみにしていた。その時
〜キーンコーンカーンコーン♪〜
チャイムがなってしまった。まずい。先輩達から怒られることもありえそうだ。急いで戻らなければ！私が走り出したその時だった。彰が私の手を持ち、話す気は無い顔で、つまりあの笑いで私を見ている。
これから始まるのか、あの楽しさが！！私は楽しみで仕方がなかった。