夢我無中

5限と6限は無事終わり部活動の時間だ。ここからがわたしの本領発揮。私は声優部に入っている。なかなか珍しい部活のためにとりあえず目立つ。声優部には「桜井くん」もいるので好都合だ。

活動場所の放送室まで歩いていく。放送室までは1年生の廊下を通る。自過剰な訳では無いが1年生は憧れの眼差しを向けている。私に憧れるのはやめた方がいいとは思うがな。

放送室に到着。「桜井くん」しかまだ来ていないらしい。ちょうど良い。何のモードも入れなくて話せるのがいいんだ。
「あきらっっ、もう疲れたんだが。相談乗ってくれるか。偽りの姿でいるのも疲れるし。今日は疲労倍量だよ。うわ、嫌な四字熟語だな」
彰というのが「桜井くん」の本名。いわゆる幼馴染みだがよくある恋愛みたいなのはこいつとは絶対ないんだろうな。
彰は
「りょーかーい。じゃああれだな。うち来いよ。前お前ん家行かせてもらったしさ」
「ん、わかった。部活終わったらすぐ行く。」
そこまで話し終わった時タタタタと廊下を走る音が聞こえたので私はいつも通りモードを入れて来るであろう先輩に挨拶した。モードはいつもとは違う…顔を赤らめ焦っている口調。準備完了。
ガチャと言ってドアが開く。思った通りの人間がやってきた。これは楽しみってか疲れそう。まあいい。挨拶だ。笑顔は忘れずに、な。
「こ、こんにちは。海崎せんぱ…い///」