夢我無中

「あんな話で喜べるなんて…もっとかき回したら退屈も収まるのかしら」
そんなことを考えていた。廊下の1番奥の生徒会室にやっと到着。三年生の先輩方がもういらっしゃる。挨拶はもちろん笑顔で。
「こんにちはっ!先輩方早いですね…さすがです…私ももっと頑張りますね!」

そんなことを言うともちろん食いつく先輩達。生徒会副会長の海崎先輩は
「すみれちゃんは会長なんだから無理しなくても俺らで出来るって!」
とか言っている。この人たちもうすぐ受験じゃないかしら。心配。

そう。私は2年生で推薦により生徒会長になった。こんなこと小学校からあるからもういいかげん慣れる。
今は来年の生徒会役員選挙でみんな忙しい。選挙管理委員会と私たちで今日も打ち合わせ。その後は全校に放映する選挙の注意事項のビデオを撮って編集までというのが今日の仕事。まあ楽な方だろう。作業をしながら私は例の「桜井くん」との噂をもっと大きくする方法を考えていた。そうすれば学園生活充実するかもしれないし「桜井くん」なら何とかなる。なんて言ったってあいつだからな。
そんなことを考えていた矢先、海崎先輩からの呼び出し。
「おーい!すみれちゃん、ちょっと作業のことで…廊下来てくれる?」

あぁせっかくの私にとってつまらない日々が黒い噂によって充実しそうだったのに面倒になりそうだ。あえてのこれを使うって手もあるか?でも面倒だ。だけど私は笑顔で答えた。
「はいっ!"作業"のことですねっ!先輩のいうことなら"何でも"お聞きします」