夢我無中

昼休みの賑わう廊下。
「おい、すみれ!待てよ!」なんて声が聞こえて私は振り返る。予想通りあいつだ。私は生徒会長モードの笑顔で
「何かありましたか?桜井くん?」
「桜井くん」と呼ばれたあいつは驚いたのか何なのか顔がおかしい。変なやつは無視する主義の私は例外なくあいつも無視した。周りにいた他の生徒が
「桜井、すみれに振り向いてもらいたくても振り向かせられず!残念!」
とか言われても別に私は気にしたくない。けどここではみんなの理想の女の子を演じなくては。無視しかけたあいつとほかの生徒に向かって私はいう。いつも通りの笑顔で親しみやすい友達モード。
「私は無視するつもりじゃなかったんだけど…もし無視とか思われてたらごめんね?生徒会の打ち合わせがあるから!じゃあっ!」
そう言って廊下を歩いて1番奥の生徒会室へ向かう。結構歩いたのにまだ聞こえるくらいあの廊下は騒がしい。