ある日の昼休み。
「そういえば、まっき〜の恋バナって聞いたこと無くない?」
そう言ったのは美由だった。
『…え、私は…』
突然の事で戸惑ってしまった。
私はどっちかというと、男子と
あまり仲良く無いタイプ。
美由がよく男子と喋るから、
私もつられて前よりは会話をする
ようになったと思う。
けれど、やっぱり少し苦手。
そんな私が恋なんてする訳が無か
った。
「そうだよね〜、まっき〜の恋バナ聞きたい!」
「ホント、聞きたいよ…ねッ、たかし♪」
そう言って美由は、たまたま前を
通りかかった男子にいきなり話題
をふった。
「はっ?何がだよ?!」
その人が私達の方を向いた。
【あ、この人知ってる】
ってすぐ思った。
【たしか、生徒会の人だ…】
「別に〜、なんでも無〜い♪」
「意味分かんね〜し。」
そんな2人のやり取りを聞きなが
ら、私は
【この人、高橋君…だっけ】
ぼ〜ッとその男子の顔を見ながら
そんな事を考えていた。
すると一瞬、その男子と目が合っ
てしまった。
私はドキッとして、思いっきり顔
を背けた。
自分で顔が赤くなっているのが分
かる…。
男子と目が合っただけで意識して
しまう。
そんな私は、目の前で仲良く会話
している美由が、羨ましいと思っ
た。