「やだよぉ~凜菜…僕にしてよ…」

「つーか、まじでお前フラれたの?」

「ぅぅっ…許すからさ…僕とずっと…ぅぅっ」



ダメだ。


20歳を一年も過ぎてる大人が、泣きながらやけ酒なんて…恥ずかしい。


情けないって自分でも思う。


でも、今の僕には。


大切なものを失った今の僕には、涙を止める術もなくて、


1粒、1粒。

また1粒と零れ落ちてゆく涙と


それに合わせるかのように、口から体内に吸収されてゆくアルコール。


止めて、誰か…。


どうやったらこの痛み、拭えるのだろう。


アルコールって殺菌作用あるんじゃないの?


この痛みも傷痕も全部、殺菌するように無くしてよ。




「…おい、楓純!もう呑むなって」

「やだー!」

「やだじゃない、酒で誤魔化したってあとが辛いだけだぞ?…俺がちゃんと聞いてやるから…慰めてあげるから、だからやめろ」

「ちゃんとそばにいてくれる?」

「……今日はあともう少ししかいられねぇ…けど、明日なら1日付き合ってあげられっから、な?明日気晴らしにどっか行こう!なんなら遊園地いくか!水族館とか…あ、ディズニー行っちゃう?」

「やだー!今日一緒にいてくんなきゃやだー!」

「お前は…駄々っ子か!酔うとガキみたいになんのな」