その誓は、もうすぐ途切れてしまう。



彼女によって、これから自分自身が彼女に向けて言う言葉によって。


破ることになってしまう。



僕は元カレ兼ストーカー扱いまでされて、それでいて付き合っていられるほどお人好しでもないしできた人間でもない。




「ごめんね、凜菜…」

「謝らないで!悪いのは私なの…信じれなかった私がいけないの」

「…もう逢えない」

「…うん」




なんだろう。


どうしてこんなにも、落ち着いていられるのか。



僕は不思議な気分だった。




あんなに幸せで、自分でいうのもあれだけどラブラブだったのに。



別れって、案外あっさりしているんだね。







「別れよう」

「…っ…うん」





でも何で目の前の彼女は、そんなに悲しそうに泣いているんだろう。



もしかしたら、やっぱり僕を選んでと言えば迷いこそはあるかもしれないけれど、僕の手を取ってくれるのではないか。






そう、思って…でも、やめた。






もう単純には、戻ることなんて出来ないところまできてしまっている。


僕の中で、彼女の信用性はぐんと下がっていたから。




「だけど、これだけは覚えてて?僕は君を1度も嫌いになんてならなかった。むしろ大事にしたくて、大切でたまらなく大好きだった。これからもずっと君と歩んでいくんだと、そう思っていたよ」




目の前の彼女は僕のその言葉に、



ポツリ、ポツリと流していただけだった涙を、大量に浮かべて顔を伏せた。





「バイバイ、凜菜」

「…っ、かお、る……楓純っ…」



僕は自分の分の食事代をテーブルの上にそっと置くと、鞄を肩に掛けて店を後にした。





その間気まずそうに黙っていた男は、じっと何かをいいたそうに僕を見つめていて、




「あんたはどうするのか、ちゃんと決めてね」




そう口パクで伝えれば、男は1度目を見張ると静かに肯いた。