もう一度、僕に恋をして。






うわ。


なんか、ドキドキする。



折崎さんが家にいるよ…。



いや、招いたのは僕だし当たり前の事なんだけれど……。




でもどうやら折崎さんも僕と同じで、緊張しているらしい。



ちょっとだけソワソワした素振りを見せたのを僕は見逃さなかった。




「あの、折崎さん…リビングへ」



緊張気味に、そう言いながらリビングへと案内する。



「荷物は適当に置いて、あとは…ソファーに座って待ってて下さい」

「了解」

「今オムライス、作ります」

「ふふ、うん…ありがとう」




なんでだろう、何でこんなにも緊張しているんだろう。



家に人を招いたのは初めてじゃないはずなのに。



隆弘だって、凜菜だって来たことあるし。




相手が折崎さんだから?



だとしたら、僕はなんでこんなに意識してるんだ。



それじゃまるで…。


いや、そんなことはない。



凜菜と別れたばっかだし、まさか…そんなことは…。


絶対ありえない。




僕は頭に過ぎったある想いを、頭を横に振って消し去ると手を洗って材料を揃えた。



前は確か、凜菜によく作ってたなぁ。



普通は逆じゃない?なんて、その時凜菜は言ってたけれど、僕は自分の手料理を“美味しい”と言って食べてくれたときの表情が、たまらなく可愛くて、



だからよく作ってたんだよなぁ。



材料も玉ねぎとか切るのを手伝ってくれるとき、涙が止まらないと言って泣きながら笑う凜菜が面白くて、思わず笑っちゃったりして。



思えばあのときが一番、凜菜の前で笑った時だったと思う。




もっと、凜菜の前で笑っていれば。



なにか変わっていたのかな。



もっと好きって言って、折崎さんとしたようなキスをして……その先も、したり?




そうすれば凜菜は“女としてみられてない気がする”と悩むことなく、それによって浮気することもなく、今もこの先も二人でいれたのかな?




なんて、ザクザクと玉ねぎやハムやらを切りながらそんなことをかんがえていたら、




「…いっ!」




指先に包丁の冷たい感触がしたと思ったら、思いっきり切ってしまった。




タラーっと即座に離した指先から滴る紅い液体に、やってしまったと反省。



凜菜のこと、もう考えなくなったと思ったけれどやっぱりふとしたときに考えちゃうもんだな。




「楓純くんっ!…大丈夫?ほら、手を貸して」



カシャンと派手に音を立てて、包丁をまな板の上に落としたからか、それとも見ていたのか。




すぐに駆けつけてきてくれた折崎さん。





「あ…折崎さん」

「ちょっと、なにしてんの…あーあ、これかなり深いよ?」

「考え事してて…」



染みるから一瞬だけ我慢して、そう言って口元へ僕の指先を持っていくと、それを口に含んだ。



折崎さんの熱い口内と、ザラザラとした舌の感覚に思わず、



「ぁっ……」



身体を強ばらせると同時に、甘い声が漏れた。



そんな僕に、折崎さんはちらっと僕を見てそしてニヤリと笑う。




「折崎さんっ…あの、絆創膏…そこの引き出しにあるんで……」




僕の指を咥えて舐める折崎さんをみて、ソワソワとこそばゆくなるのを覚えながら、



また出そうになる、吐息を抑えながらそう言えば