「お前さ、働きすぎじゃね?」
今日たまたま、バイトの時間が一緒だった隆弘に休憩中も在庫確認していたら、
突然横から声をかけられた。
働きすぎ…か。
確に疲労感も、ある程度溜まって眠気もドリンクじゃ誤魔化せなくなっている気がするけど…。
でも、何もしないでいるよりはマシだった。
「なぁ、楓純!聞いてんのか?」
「…あぁ、ごめん」
「お前さ、少しは休んだ方がいいぞ?」
「そう、だね」
僕のことを心配する隆弘の気持ちは、とても嬉しかった。
でも、休む気は無い。
休んでたら…。
凜菜のこともまだ、傷は癒えてないし。
それに、今月ピンチだったしいいんだ。
店長にも褒められて、時給ちょっと上がったし。
ラッキーだよ、うん。
僕は無理やりではあるけれど、口角をくいっと上にあげて、即興の笑顔を隆弘に向ける。
「大丈夫、全然…平気だよ」
「なんか…バーで別れたあの日から変だぞ?お前、何かあったのか?」
「…っ!」
しまった。
突然の言葉に僕は、ペンを派手な音を立てて落としてしまった。
「なに、図星か?」
「ち、違うよ…凜菜のこと…思い出しただけ」
「…俺にはそれだけが理由とは思えねぇけど、まぁそういうんならそうなんか」
「…うん」
意外と鋭い隆弘に、ヒヤヒヤしたけれどよかった。
なんとか、ごまかせた。
やっぱり長年の付き合いだと、なんとなくでわかってしまうものなのかな、とヒヤヒヤしたけれど、バレなくてよかった。