あのときはその男にちゃんと言ってやれよとか、自分はどっかで違うって、ちゃんと凜菜に愛情表現を示しているって余裕こいてタカをくくっていたけれど、
本当はあの時から、僕はあの男と同じような立場にいたんだ。
どうしよう。
あぁ、まただ。
後悔の念と同時に、どうしようもなく凜菜に会いたくなってきた。
クラクラする。
頭が痛い。
考えすぎたのかな。
それとも酒に弱い僕が、これでもかってくらい呑んでしまったから?
「ぅぅっ…り、な…」
「楓純くん?」
「……」
なんだか、折崎さんの声が遠くで聞こえる。
あぁ、これはきっと。
兄貴みたいに、折崎さんに迷惑かけちゃうかな。
そう思いながら僕は、微睡む意識という海の中に溺れていく感覚が身体中を包んでいった。
そして、その先に僕の名前を呼ぶ凜菜を見た気がした。
違う。
きっとそれは―――折崎さん、だろう。