「え?今日ですか?」



「そう。急な会議なんだけどね…駄目かな。」




お昼休憩の後、上司に呼ばれたと思ったら急な会議に出てほしいってことらしい。



それも5時から。



いっくんのお迎えもあるのに…ん~。。



でも、上司はすでに私が行ってくれというような顔をしてる。




「わ、分かりました。」



「いやー、助かったわー。」




上司に頭を下げると、そのまま今度は保育園に電話を入れに走った。




『はい、なかよし保育園です。』



「あの、高間 郁斗の母ですが…」



『あ、いっくんママ。田口です。』



「あ、蒼太先生っ。」




電話に出たのは、いっくんの担任の蒼太先生だった。


声を聞いて、頭の中であの元気で爽やかな笑顔を思い出す。




『あの…どうされました?』



「あのですね、実は今日…」




どうしても抜けられない仕事が入ってしまってお迎えが遅くなることを話すと、蒼太先生は優しく“大丈夫ですよ。僕、いっくんと一緒に待ってますから。”と言ってくれた。



私がホッとしながら、謝ると…




『そんなっ、謝らないで下さい。
僕、いっくんと仲良しなので一緒に遊べて楽しいですから。』




そんなフォローをしてくれた。
蒼太先生、優しすぎ。




「じゃあ、終わり次第すぐ迎えに行きますので…失礼します~。」




そう言って電話を切ろうとした時、“あのっ”という声にまた電話を耳に当てる。




「蒼太先生?」



『あ、いえ…お仕事頑張って下さいね。』




ちょっと照れたようなその声に、キュンとして…つられて私も照れてしまった。



電話を切ってから、誰もいない会社の給湯室で胸を押さえた。



うわぁ…いけない。
このキュンとか、ドキッとか、ヤバい。



どうしちゃった?私。



何となく気持ち落ち着かないまま、私は仕事へ戻った。