秘め恋*story9~保育園で…~





ソファーに座ったいっくんは、すっかり夢から覚めたようで…




「ママ~♪そーたせんせ~♪」




私と蒼太先生の顔を交互に見ながら、ニコニコと嬉しそうに笑う。




「いっくん、何でそんなご機嫌なの?」



「だって、ママとそーたせんせーが仲良しだから。」



「えっ!?」




いっくん…それは…その~


もしかしてさっき抱き締められてたの、完全に見られてた…?



ああ…穴があったら入りたい。




「あのね、いっくん。その、ママと蒼太先生は仲良しだけど、みんなと同じくらい仲良しなの。えっと~…だからね…」




うわぁー何が言いたいのよ、私!


とにかく、保育園でさっきの事を言われたらまずいよね。




「だからね、いっく……」



「ねぇ、ママ。」



「えっ、ん?」




言葉を探しあぐねているうちに、いっくんは同じ目線にいる私の肩に手をおいた。






「ぼく、今日すごく楽しかったよ。
でもね、やっぱり誕生日プレゼントは、
………パパが欲しいなっ!」






いっくんっ!?


そ、それは話がついたはずだよっ!?


というか、蒼太先生の前でそれは言わないでほしいよー。。




「いっくん、それはこの前お話したよね?
パパってそんな簡単にできるものじゃないし、ママだって好きな人がパパがいいって…」



「ん~…でもー。。」




ん~…こりゃ、長期戦で説得していくしかないかな~。


と、これからの険しい道のりを想像した時だった。




「じゃあさ、いっくん。」




後ろにいた蒼太先生は、スッといっくんの横にしゃがみこんで目線を合わせると、優しい笑みを浮かべた。






「先生がパパになってもいい?」







とびっきりの笑顔で…






「うんっ!!そーたせんせ、パパになって!」






ちょっと、いっくんも何でそんなあっさり…



1人置いてきぼりな私。



すると、蒼太先生はしゃがみ込んだままの私の前へ向かい合うと…子犬のようなあの潤んだ目で見つめた。



わぁ…やめてその必殺技。。
私弱いんだから。




「俺じゃ、だめですか?」



「え、でも、それは…」



「俺は亜紀さんもいっくんも、大好きです。
それだけじゃ…だめですか?」



「えっと…」




面と向かって、ここまでストレートに気持ちを伝えられるともう、何て言うか…私の方が恥ずかしい。。