ソファーに座ったいっくんは、すっかり夢から覚めたようで…
「ママ~♪そーたせんせ~♪」
私と蒼太先生の顔を交互に見ながら、ニコニコと嬉しそうに笑う。
「いっくん、何でそんなご機嫌なの?」
「だって、ママとそーたせんせーが仲良しだから。」
「えっ!?」
いっくん…それは…その~
もしかしてさっき抱き締められてたの、完全に見られてた…?
ああ…穴があったら入りたい。
「あのね、いっくん。その、ママと蒼太先生は仲良しだけど、みんなと同じくらい仲良しなの。えっと~…だからね…」
うわぁー何が言いたいのよ、私!
とにかく、保育園でさっきの事を言われたらまずいよね。
「だからね、いっく……」
「ねぇ、ママ。」
「えっ、ん?」
言葉を探しあぐねているうちに、いっくんは同じ目線にいる私の肩に手をおいた。
「ぼく、今日すごく楽しかったよ。
でもね、やっぱり誕生日プレゼントは、
………パパが欲しいなっ!」
いっくんっ!?
そ、それは話がついたはずだよっ!?
というか、蒼太先生の前でそれは言わないでほしいよー。。
「いっくん、それはこの前お話したよね?
パパってそんな簡単にできるものじゃないし、ママだって好きな人がパパがいいって…」
「ん~…でもー。。」
ん~…こりゃ、長期戦で説得していくしかないかな~。
と、これからの険しい道のりを想像した時だった。
「じゃあさ、いっくん。」
後ろにいた蒼太先生は、スッといっくんの横にしゃがみこんで目線を合わせると、優しい笑みを浮かべた。
「先生がパパになってもいい?」
とびっきりの笑顔で…
「うんっ!!そーたせんせ、パパになって!」
ちょっと、いっくんも何でそんなあっさり…
1人置いてきぼりな私。
すると、蒼太先生はしゃがみ込んだままの私の前へ向かい合うと…子犬のようなあの潤んだ目で見つめた。
わぁ…やめてその必殺技。。
私弱いんだから。
「俺じゃ、だめですか?」
「え、でも、それは…」
「俺は亜紀さんもいっくんも、大好きです。
それだけじゃ…だめですか?」
「えっと…」
面と向かって、ここまでストレートに気持ちを伝えられるともう、何て言うか…私の方が恥ずかしい。。



