秘め恋*story9~保育園で…~






「やっぱり、疲れてるじゃん。」



「ぐっすり寝ちゃってますね。」




家に帰ってソファーに下ろされた頃には、いっくんはすでに夢の中。



そんな天使の寝顔を蒼太先生と2人で眺めていた。



何となくその時間さえ幸せに感じた…
というか、このまま続けばいいのにって。




「あ、コーヒーでも飲みますか?」




キッチンへ行って、2人分のカップを取り出して用意していると…




ーーーーーーーギュッ。



不意に背中から抱きすくめられる。


あの日の体の感触を思い出して、胸が高鳴る。




「蒼太…先生?」



「ハァ…あの日から、ずっとこうしたかった。」




それが本音だと分かるくらいその声は、嬉しそうで…



私だって…



でも、あの日から蒼太先生…何にも言ってくれなかったじゃない。



だから、私は…




「蒼太先生、やめましょう?こういうの。
私にはいっくん…子供がいますし、恋愛してる時間なんてないんです。」




再婚がこの先にないのなら、私は蒼太先生とはこうしていたくない。



その温かい背中から逃れようとすると、その腕はさらに私を力強く縛りつけた。




「今日、ホントは偶然じゃないんです。
亜紀さんといっくんを待ってたんです。」



「え?何でっ?」




突然のカミングアウトにただただ驚く。


だって、今日水族館行くっていうのは私といっくんしか知らないのに。




「いっくんに誘われたんです。
『一緒に行こー』って。だから、俺今日来ちゃいました。」



「いっくんが…」




知らなかった…


だっていっくん、そんな素振り全然…




「俺、ホントに今日楽しかったです。
2人と一緒にいられて。」



「・・・//////」




それが本心なのかどうか分からなくて、でも嬉しくて照れるしかなくて。




「亜紀さん、俺…」




蒼太先生が何か言いかけたその時…




「ママ…?そーたせんせ?」




目を擦りながら、ぽてぽてとキッチンへ歩いてきたいっくん。



慌てて2人は離れた。




「どうしたの?起きちゃったね。」




目を擦るいっくんのそのままリビングへと誘導する。