秘め恋*story9~保育園で…~





「亜紀さん。」



「あっ……」




ぼーっとしていると、下の名前で呼ばれて我に帰る。



何となく気まずい。




「あの…蒼太先生、なんでここに?」



「たまたま今日のラッキースポットが水族館だったんです。」



「はぁ…」



「今日、いっくん誕生日ですね!
良かったら、俺も一緒にいいですか?」



「え、それは…」




イヤイヤイヤイヤ、
無理だよ~気まずいよ。



そんな私の心の声はお構いなしに…




「ほら、そーたせんせ!早く行こー!」




蒼太先生の手をつかんで館内へと走りだすいっくん。



いっくーん、ママどーしたらいいのー!?



それから1日、蒼太先生は私達と水族館を楽しんだ。



いっくんは蒼太先生のことが大好きなようで、
本当に楽しそうだった。




もちろんそれは、私も例外じゃなく…




「ペンギンの子ども可愛い~♪」



「亜紀さん、ペンギン好きなんですか?」



「はいっ。」




あ……
大好きなペンギンを前にテンション上がってしまってた。



そんな私を蒼太先生は、いつもの可愛い笑顔とは違う優しい笑みで見つめた。



そんな表情にまたドキッとしてしまう。




「そろそろ、帰ろっかーいっくん。」



「ええ~。。」




4時も回ってそろそろ帰ろうかって頃、
はしゃいで疲れてるはずなのに駄々をこねるいっくん。



すると、いっくんの前にしゃがみ込んだ蒼太先生。




「いっくん、乗るか?」



「うんっ!」





蒼太先生の背中に飛びついたいっくんは、そのあと家につくまでいい子しておんぶされていた。