「亜紀さん。」
「あっ……」
ぼーっとしていると、下の名前で呼ばれて我に帰る。
何となく気まずい。
「あの…蒼太先生、なんでここに?」
「たまたま今日のラッキースポットが水族館だったんです。」
「はぁ…」
「今日、いっくん誕生日ですね!
良かったら、俺も一緒にいいですか?」
「え、それは…」
イヤイヤイヤイヤ、
無理だよ~気まずいよ。
そんな私の心の声はお構いなしに…
「ほら、そーたせんせ!早く行こー!」
蒼太先生の手をつかんで館内へと走りだすいっくん。
いっくーん、ママどーしたらいいのー!?
それから1日、蒼太先生は私達と水族館を楽しんだ。
いっくんは蒼太先生のことが大好きなようで、
本当に楽しそうだった。
もちろんそれは、私も例外じゃなく…
「ペンギンの子ども可愛い~♪」
「亜紀さん、ペンギン好きなんですか?」
「はいっ。」
あ……
大好きなペンギンを前にテンション上がってしまってた。
そんな私を蒼太先生は、いつもの可愛い笑顔とは違う優しい笑みで見つめた。
そんな表情にまたドキッとしてしまう。
「そろそろ、帰ろっかーいっくん。」
「ええ~。。」
4時も回ってそろそろ帰ろうかって頃、
はしゃいで疲れてるはずなのに駄々をこねるいっくん。
すると、いっくんの前にしゃがみ込んだ蒼太先生。
「いっくん、乗るか?」
「うんっ!」
蒼太先生の背中に飛びついたいっくんは、そのあと家につくまでいい子しておんぶされていた。



