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今日はいっくんの誕生日!
天気は申し分なく、快晴!
「いっくん、行くよー!」
「行こー!!」
誕生日が日曜日と重なってくれたおかげで、
2人で水族館へ出掛けることができた。
さすがに例の難題の誕生日プレゼントは間に合わないから“行きたい所にお出掛け”でとりあえず、いっくんには我慢してもらった。
「あのね、ぼくイルカさんさわりたいんだ。」
「そっか、じゃあ今日はイルカさんとたくさん遊ぼうね~。」
「うん!」
手を繋いで隣で嬉しそうに歩くいっくんを見ながら、ふとあの日の事を思い出した。
そう、あの夜の事。私は、蒼太先生と…
久しぶりに自分が女だって再確認できた。
好きな人と触れ合えるって、こんなに幸せな事なんだって…実感した。
でもあれから蒼太先生は顔を合わせても以前と変わらず…保育士と保護者の雰囲気のままで。
きっと、気の迷いだったんだなって。
何て言うか、年上とちょっと遊びたくなった的なね?
そうだよ。よく考えてたら分かるじゃん。
バツイチ子持ちの年上女、本気で好きになるわけないよね~。
あーー、自分で言っといて落ち込むわー。。
「ママ、もうすぐだー!」
おっと、バカバカ。
今日はいっくんの誕生日を思いっきり楽しむんだから!
変なことは考えない!
気持ちを切り替えて、手を引くいっくんにつられて早足で水族館へ歩き出した。
そして、水族館の入り口の大きなアーチをくぐった時…
「あ、そーたせんせー!!」
「こんにちは、いっくん。」
え?何でいるの?
いっくんが嬉しそうに元気に駆け寄っていった先には、それをしゃがんで抱き留める蒼太先生の姿があった。
私はしばらく状況が分からず、そのまま呆然と立ち尽くして楽しそうにお話する2人を見ていた。



